このさき司法書士事務所
将来のために今あなたができること

将来のために今あなたができること

「生前対策って具体的にはどういうもの? 私にも関係ある??」

生前対策というものを一言で説明するとすれば、文字通り・・・



・・であるにもかかわらず、生前対策については、現時点で亡くなったとすると、相続人様が相続手続をするにあたり、相続税が課されるような、ある程度の財産を持っている方向けの話になりやすいのですが、今後、より幸せな人生を送ることができる選択、ご自身の死後に相続人となられる予定の方や、ご自身の死後に財産を渡してあげたい方にとって、より良い選択を現時点ですること、という広い意味に捉えれば、どなたにも関係しうることです。


親が高齢者と言われる年齢に差しかかった頃には(今は、お子様が結婚して子供ができた頃にはもう親が65歳以上になっている、ということがむしろ通常になっています)、お子様は親のことで、じつに色々な心配をしています。


経済的に自立してからは、親とは離れて暮らしている方が多いので、食事はちゃんととれているのか、病気になっていないか、身体を悪くしていないか、物忘れは大丈夫か、生活費は足りているのか、借金はしていないか、もし親が亡くなったら、葬儀や墓のこと、遺産分けや負動産のことはどうしよう、などなど。

          

ただ親のことが心配、という方もいらっしゃるでしょうし、ご自分が家庭を持っている場合、こちらに火の粉が降りかかって来ては困る、というお気持ちが強い方もいらっしゃるのでしょうね。

さすがに、遺言書については、「子供に作ってくれと言われたから、作ることにしました」ということは、まずないのですが、ご自身の死後に財産がすこしでも残りそうな方の生前対策のきっかけとなるのは、実は多くの場合、お子様の発言や働きかけだったりします。




生前対策と一口に言っても、その種類は様々です。まず、残すべきプラス財産(預貯金や不動産など)が多いか少ないかで話は違ってきますし、残すべきプラス財産が多いとしても、マイナス財産(要は借金)が多いかどうかでも話は違ってきます。親が事業を営んでいる場合は、話はさらに複雑になります。

ここでは話をわかりやすくするために、親が事業を営んでおらず、総財産はプラスになる(借金などを清算しても相続財産が残る)ケースを前提とします。
親である方ご自身の 生前対策 〜多々ある中で司法書士的な観点から〜
     〔すべてのケースに共通するPOINTその①〕
      
   
(ここに言う、所有する不動産のチェックには、“不動産の有無のチェック”も含まれていますから、注意して下さいね。自分は不動産なんか持ってないよ、と思っている方にも、ひいおじいちゃん名義の家や山が遺されていないとは限りません・・・)

不動産があちこちに沢山あることがわかっている方にとってはちょっと手間なのですが、一度、不動産がある市町村役場(東京23区は都税事務所)で名寄帳(なよせちょう、と読みます)を取っておきましょう。

名寄帳は、ご自身が所有する不動産が列挙されている一覧表で、その自治体によって異なるため、一概には言えないのですが、固定資産税等が課税されない不動産も記載されていたりします。

この名寄帳を入手したら、さらに面倒なのですが、最寄りの法務局かオンラインで、所有不動産の登記事項証明書を1通ずつ請求してみましょう。そうすると、それが登記されている不動産なのかどうかもはっきりします。

ちなみに、家屋(かおく、と読みます。税法上は、住家や店舗、倉庫などを含む、建物全般を指す言葉です)については登記がない(未登記建物)ということもありますが(登記が必須条件となる住宅ローンを組まずに現金支払いで家を建てたので、登記手続をしないままになっている、ということが多いです)、土地の登記がないということはまずありません。

ここで注目したいのは、家屋の方です。

家屋に関しては、数年に一度は調査がされていることが通常なので、建物がなくなっているのに固定資産税がかかっている、ということはあまりないのですが、稀に、調査漏れか何かで、建物はもう解体したのに、固定資産税がかかり続けていることがわかったりします。

その場合は、市町村役場などの固定資産税課等へ、その建物を解体した事実を伝えましょう。担当者が空中写真などでその建物が存在しないことを確認した後にはなりますが、その建物は、固定資産課税台帳から削除してもらえます。

そして、それが登記がある建物だった場合は、土地家屋調査士の先生に滅失登記というものをしてもらいましょう。

司法書士には滅失登記を代理申請する権限がないのですが、相続登記のご依頼があった際、ご要望があれば、土地家屋調査士の先生におつなぎして、滅失登記をしていただいています。

生前にこの滅失登記をしておくことで、のちのち、相続人様がこの建物の相続登記をする必要はなくなります。

また、登記がある建物の登記事項証明書を見て、建物の現状と、登記されている内容が合っているかどうかを確認しましょう。

実際の建物は瓦葺の2階建てで床面積は100㎡以上ありそうなのに、登記簿上は草葺の平家建で床面積が50㎡、などとなっていませんか?

もしそんなことになっていた場合、登記簿の記載を最新のものに直して欲しい、と思われたら、これも土地家屋調査士の先生に表題変更登記をお願いしましょう(数としては少ないですが、そういうご依頼があったこともあります)。

一方、登記はされていないけれども、建てられてからそれほど年数が経っていない家、というものもあったりします。そういう家を次の世代がきちんと受け継げるようにしてやりたい、と思われたら、土地家屋調査士の先生に建物表題登記というものをしてもらいましょう。建物表題登記が済んだら、所有権保存登記(これは、司法書士が代理申請するのが通常です)をすることにより、その建物を登記済みの不動産とすることができます(その建物については、のちのち、相続人様がそのまま相続登記をすることができます)。

他方、この際だから、古い家は解体してしまって、登記もなくしてしまいたい、と思われたら、八方、手を尽くして、建物の解体業者を探しましょう。

建物の解体業者は、作業内容や費用にかなりの開きがあるようなので、見積もりを取るなどして、よく比較検討されることをお勧めします。






建物の解体が終わったら、土地家屋調査士の先生に滅失登記をしてもらって下さい。

繰り返しになりますが、滅失登記をすれば、のちのち、相続人様がその建物の相続登記をする必要はなくなります。


取得した名寄帳と登記事項証明書は、ご自身の相続人となられる予定の方の便宜のために、権利証などと一緒に、金庫等に保管しておくと良いでしょう。

      







     〔すべてのケースに共通するPOINTその②〕
                         

負動産(ここでは、ご自身やご自身の相続人となられる予定の方にとって、実質的な価値がない不動産を指します)については、1日も早く、安値でも売却できるようならして、売却できなければ贈与してでも処分しましょう。

(近所の人に話をしてみる、根気よく複数の不動産業者にあたってみる、などすると、思っていたよりスムーズに問題が解決できる場合もあります)
           
 
            
                                                                                

後々のことを考えれば、負動産は、時間、金銭、気力、体力的に可能な限り、引取手数料を支払ってでも、生前に処分しておくことが望ましいです。

[ただし、ご自分が信用できない業者に言われるままに、お金を支払うのは絶対にやめましょう!]

そのまま放置しておくと、ご自身の相続人となられる予定の方が、いずれ相続登記の費用を支払った上で、処分しなければならなくなるからです(未登記建物であれば、相続登記の費用はかかりませんが、遅かれ早かれ、解体費用という重い負担がのしかかってきます)。





売却も贈与も引取も不可だった場合は、仕方がないので、せめて建物の解体だけでも検討しましょう。

      


相続財産が少ない場合 vs. 相続財産が多い場合

財産が少ない、多い、という話になると、少ないよりは多い方がいいに決まっている!と、お考えになる方が大半かと思うのですが(私もかつてはそうでした)、税理士の先生と共に、ご自身の死後には確実に相続税がかかってくるレベルの財産(先祖代々のものを含む)を持っていらっしゃる方々からの数々のご相談を受けてきた経験からすると、そうとは限らないのですね(苦笑)。

とてつもない富裕層ではなくても、多くの財産があればあるなりの、苦労があるものなのです。受け継いだものだけに、迂闊に減らせない、とか、好きなようには使えない、とか。財産が数千万円から数億円の預貯金だけ、という方はごく少数派なので、財産管理が複雑になりがちですし、むろん、税金の問題もあります。






私自身は、“相続税がかかるほどの遺産はないけれども、不動産としては、ローンの返済がない土地と家が1つずつあって、相続人はお子様お2人(お姉様と弟様)。お子様同士の仲は良く、お姉様が結婚して家を出られているので、弟様が不動産と預貯金を相続することになった”、といったケースが相続案件としては最も平和で、幸せなものなのではないか、と感じています。


【相続財産が少ない場合 ※目安として相続税がかかるまでには至らないレベル 】

❶ 遺言書作成

❷ 任意後見契約


【相続財産が多い場合 ※目安として相続税がかかるレベル 】

❶ 遺言書作成

❷ 任意後見契約

❸ 家族信託……家族信託はどうかな?と思ったら・・・
    


ご自分の相続に関係する人(ご自分の死後に財産を渡してあげたい人を含む)全員と、ご自分の財産や相続について話し合うことが重要で、話し合いに参加できない家族が1人でもいたら、家族信託は事実上、難しい、ということは覚えておいて下さい。



なぜ、相続財産が多い場合にだけ家族信託という方法が加わっているのかというと、相続財産が多くない場合には、家族信託という方法をとる実益があるケースが少ない、コストパフォーマンスが悪いと思われるケースが多い、からです。

そもそも、信託財産(信頼できる人に託すことのできる財産。ある程度まとまった金額の預貯金や不動産(農地や借地は除く)など)がない場合は、この方法をとりようがない、ということもありますしね。

◆いずれの方法をとるにしても、所有している不動産の数が多い、などで、相続税がいくらかかるのかわからなくて心配な方は、まず、相続税に強い税理士の先生に相談されることをお勧めします(相談者はお子様でも差し支えないことが多いです)。相続税の申告に特化した税理士事務所の中には、生前対策サポートサービスが充実しており、相続税額の試算をした上で、生前対策の具体的な方法を提示してくれるところもあります(価値の高い不動産を所有していて、借金などを清算すると現金や預貯金はほとんど残らない、というような方の場合、ご自身の相続人となられる予定の方が相続税を難なく支払えるように、不動産を現金化しておくことが必要になってくるかもしれません)。

          
お子様が高齢の親のことで 今いちばん 心配していること

病気・ケガ

重要度:
緊急度:



※病気やケガにも、命にかかわるものからそうでないものまで色々ありますが、いずれにしても、高齢の方の病気やケガで治療を要するようなものは、お金がないから月末まで待てばいいか、というものではありません。そういう意味で、最優先にされるべき事項です。

お金



重要度:
緊急度:



※「先立つもの」という言葉があるように、お金の問題は非常に重要ですが、一般的な生活をしていれば、よほどのことがない限り、いきなり無一文になる、ということはまずありません。そういう意味では、緊急度が一段下がると言えます。
 
介護


重要度:
緊急度:



※人の身体は加齢に従って次第に衰えていきますが、一般的には、いきなり両手両足がまったく動かなくなったり、いきなり寝たきりになるようなことはなく、徐々にあちらこちらが弱っていきます。そういう意味で、緊急度が一段下がると言えます。

認知症
重要度:
緊急度:



※認知症は、個人差もありますが、一般的にはゆっくりと進行するものとされています。また、発症したとしても、直ちに身の周りのことができなくなるわけではなく、かなり症状が進んだ段階でも、独りで暮らすこと自体はできたりもします。そういう意味では、介護よりも緊急度が下がると言えます。
 
亡くなった後のこと
(相続など)
重要度:
緊急度:


※これはもうわかっていただけると思うのですが、相続というのは、あくまでご本人がお亡くなりになった時に発生するものですから、その点では、緊急度は高くないと言えます。但し、ご本人の意思が尊重され、相続人となられる予定の方のお気持ちをも大事にした形での財産承継を実現するためには、ときに最優先事項として、家族一丸となって取り組むべき課題です。

司法書士 柴田 佐知子

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